一つの起点 |
TIME GATE HARD FINAL EPISODE |
昨日まで一緒にいたゼファルは、いつまでも自分だけ聖騎士団本部での仕事を放っておく事ができないということで、朝早くに帰ってしまった。結局アルバート城に行くのは、保護をしていたアクレドとレガーノ、そしてダイハナンの人間としてデュエイとフェルスナーの四人。 フェルスナーも城に行くならと、練習に着ていた服ではなく、最初に着ていたドレスに着替えてから出発となった。 アルバート城門まで来ると、フェルスナーはゼストウラの時と同じように、城門の豪勢さに驚いている。だが、その表情はゼストウラの時以上である。 「フェルスナー様、更に驚かれておられるみたいですね。しかしこれがアルバートというものなのです。規模の大きい国だということを主張するため、城門にまで気を配っているのです」 デュエイの説明はフェルスナーの耳には届いていなかった。城門というと、ダイハナンやゼストウラのようなのを想像していたが、これでは丸で要塞である。その張り詰めた空気は、フェルスナーに取っては初めてである。 「アルバートは最大の武力を誇る国です。ゼストウラがアルバートをも手中に収めようと考えていたのであれば、ダイハナンと組んだのも必然と言えるでしょう」 歩を進めながらレガーノが説明をしていた。 「あたしの国…ダイハナンにも、そういう部隊があればいいのに」 「私も詳しいことは知りませんが、ダイハナンとゼストウラは、お互いに助け合うというやり方をすることで、そういった部隊は必要ないと考えられていたようです」 「デュエイ…」 「それがずっと続けられていたのですよ。そしてその考え方は、父上様にもありました。きっとフェルスナー様もそう考えることでしょう」 城門を通り過ぎて少し歩いたところで、槍を持った二人の兵士に行く手を遮られた。間違いなく番兵である。 「待て、アルバート城に何用…」 言い切ろうとしたが、二人の兵士はアクレドとレガーノの姿を見て言葉を止めた。 「何だ、アクレドとレガーノじゃないか」 「何だってことはないだろう」 アクレドが笑いながら答える。 「見慣れぬ姿もいるが、知り合いか」 「まあな、ちょっと王様に用事があってな。悪いけど通らせてもらうぜ」 アクレドはそれだけ言うと、城の中をドンドン歩いていく。あれだけ張り詰めた空気をしている城内だというのに、すれ違う兵士は全員、アクレドやレガーノの姿を見ると、全く気に止めない様子になって行ってしまっていた。 「こいつは驚いた。二人は城の者と面識があるのか」 デュエイが関心と戸惑いを交わらせて言った。 「まあね、自警団…つまり城下町の治安を任されているということもあって、城の関係者とは親しいというところだ」 謁見の間の前まで行くと、今度はレガーノが見張りの兵士に話しかけた。兵士は謁見の間に入って確認すると、すぐに入ることを許可してくれた。 「久しぶりだな、自警団の活躍は私の耳にも届いているぞ。お前達に任せたのは正解だったようだな」 まだ国王というには若い感じもする男が玉座に座っていた。歳はデュエイと大して変わらないというところだろう。 「ありがとうございます王様。このアクレドとレガーノ、これからも治安のために尽くしていこうと思っています」 「ふむ…ところで後ろにいる二人は…特にそこの少女は、どこかで見たことがあるような気がするのだが」 アルバート王はフェルスナーの姿を見て考え込んでしまった。それを遮るようにデュエイが前に出てくる。 「お久しぶりでございます、アルバート王。私は、ダイハナン兵士長のデュエイ=シーンズでございます」 「おお、そちらの者はデュエイ殿であったか。ゴルトル殿は元気か?」 「元気というか何というか…」 「あまり良くないのか…ダイハナン王はどうだ?もう何年も会ってないからな」 アルバート王がダイハナンを口にした途端、全員が言いにくそうな顔をして暗いムードに包まれてしまった。 「何か…あったのか?」 「お…王様…」 今度はフェルスナーが前に出る。 「私…フェルスナーです…フェルスナー=ダイハナン」 「な…何だと?」 アルバート王は疑うような目で見たが、フェルスナーが儀式の泉で手に入れた首飾りを手にとって見せると、アルバート王は更に驚いた。 「それは儀式の泉で、ダイハナンの者が代々身につけるという首飾り!ということは、この少女はダイハナン王女か!」 「実は王様…」 フェルスナーは今までのことを全て話した。自分の身に何があったのか、どうしてアクレドとレガーノと一緒なのかまで。一通り説明し終えるとアルバート王だけではなく、周りにいた大臣や兵士達にも動揺が走る。 「ゼストウラがそんなことを…事実だとすれば、早急に手を打たねばならんだろう。準備が整ったなら、まずはこのアルバートを狙うだろうからな」 フェルスナーとデュエイは、アルバートが力になってくれるか心配であったが、既に協力的であるのを見て安心した。 「よし、今は幸いなことに重役の者がほとんど城にいるから、これからすぐに会議を開いて、ダイハナン奪還とゼストウラ討伐のために私が動こう」 |
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